着物の種類によっては家紋が入っている着物がありますが、時と場合によっては家紋を入れ替える必要が出てくることがあります。
着物の家紋が違う場合、入れ替えることは可能なのでしょうか?
また入れ替える必要がない母方の紋とは何なのか、嫁入りで家紋はどう変化するのかをまとめてみました。
着物の家紋は違うものに入れ替えることはできる?
何かしらの理由で着物の家紋を変えなければいけない・・・
理由はさまざまですが、着物の家紋を入れ替えることは可能です。
紋の種類によってその手法が違い、染め抜き紋であれば染め直し、縫紋であれば一旦解いて縫直しとなります。
いずれも呉服屋さんや仕立直しのお店で請け負ってくれますので、着物の家紋を入れ直す際は相談されると良いでしょう。
その際のコストも3,000円~5,000円程度のことが多く、びっくりするほどの金額でもありません。
ただし、注意していただきたいのが家紋を変えたい着物に本当にその必要があるのかということです。
着物の家紋が母方の紋の可能性もあり
一番多いのが母方の紋を受け継いでいる、という可能性です。
同じ日本でも西の方では母から娘に紋を伝えていく習慣があり、代々女子だけに伝えられていく紋になります。
ですのでどの家に嫁ごうが、紋は一生涯母方の紋となり、女子が途絶えるまで続きます。
同じ風習のある地域にお嫁に行くなら問題のない母方の紋ですが、嫁ぎ先によっては母方の紋をよく思わないお姑さんも少なからずいらっしゃいますので、着物の紋については結婚前に話し合っておくと後にトラブルになりません。
結婚後も母方の紋を受け継いでいけるなら残しておきたい風習のひとつですね。
結婚後に着物の家紋が違うと気づいても、それが母方の紋であるならお姑さんと相談してから家紋の入れ直しを判断すると良いでしょう。
その際は決して実家の紋を受け継いでいる訳ではなく、母方の紋であることを主張されるとイザコザに発展しにくいですよ。
着物の家紋は嫁入りでどう変化する?
そもそも着物の紋に対する知識を持っていないと嫁入りで紋が変わると思ってしまうかもしれません。
その昔、着物の家紋というと誰が(どの家が)その着物を購入したのかを指すひとつの指針でもありました。
嫁入り前に親が仕立ててくれた着物であれば実家の紋または母方の紋、嫁入り後に嫁ぎ先で仕立てた着物であれば嫁ぎ先の紋というように所有権のような役割をしていたんですね。
昔の嫁入り道具の長持ちに実家の紋が刻まれているのはこのためです。
ですので嫁入りしたからといってむやみに紋を変える必要もなく、堂々と着ていればいいのです。
また家族といえど男性と女性では紋を同じにしない地域もあります。
これは着物の家紋が武士らしい男性の象徴であるかのような猛々しいものである場合女性にはふさわしくない、または男尊女卑の思想から来ている現象で男性はその家の家紋を、女性は女性なら誰でもつけることができる通紋を使用することがあります。
いろんなパターンがありますが、嫁ぎ先ではどのような価値観を持っていらっしゃるのかで対応が違ってきますのでまずは着物の家紋について話し合ってみましょう。
唯一の例としては結婚後、嫁ぎ先の紋を着物に入れたけど離婚してしまった、その後再婚する予定である場合は家紋の入れ替えが必要になります。
着物を中古で購入した時も同様のことが言えますが、まずはその着物に入っている家紋が何なのかを確認することが大切です。
女性だけが使用できる通紋であればそのまま着ることができます。
まとめ
いかがでしたか?
着物の家紋は地域によって解釈が異なるため、本当に難しいのが実情です。
一番手っ取り早いのは親やお姑さんなどその家を取り仕切る人に聞いてみることです。
地域によって風習やしきたりがありますので、それに習うのが一番!
着物を中古で購入した時についていた紋は女性の通紋であれば入れ替える必要もありません。
女性の通紋は「五三の桐」や「蔦」「揚羽蝶」などが多くなっています。
まずは実家の紋や嫁ぎ先の紋が何なのかを覚えて、通紋も覚えておくといざという時にも慌てなくて済みますね。
着物の家紋が違うなら入れ替えることはできますが、本当に入れ替えが必要なのかどうかを見極める目も大切です。