着物の家紋の入れ直しを考える理由はさまざまですがその着物、本当に家紋の入れ直しが必要ですか?
調べてみると意外と入れ直しの必要がなかったなんてこともありますので、ここでは家紋の意味や女性特有の決まりごとから家紋の入れ直しについて考えてみましょう。
着物の家紋は入れ直しできる?その際のコストは?
着物の家紋にはいろいろな入れ方がありますが、染抜紋にしても縫紋にしても入れ直すことは可能です。
染抜紋の場合、染める工程が必要になるため高くても2万円程度のコストはかかりますが絶対に入れ直せないことはありません。
格式の高い着物に入っているのはほとんどの場合が染抜紋になります。
染抜紋の中には格式の高い順に染抜日向紋、染抜中陰紋、染抜陰紋があり礼装には染抜日向紋が使用されます。
また留袖など第一礼装として着る着物は紋が5つ、背中、袖、胸元に入ります。
紋の数は着物の格によって増減しますがその他、三つ紋、一つ紋があります。
例えば五つ紋が入っていた色留袖を比翼や帯揚げ、帯締めの色を変えてパーティーでも着たい場合紋の数を減らして格を下げることもできます。
格を下げることで礼装からパーティーまで幅広く使うことができるようになるわけです。
このような理由から紋の数を減らしたり増やしたりするのであれば問題ありませんが、その着物本当に家紋の入れ直しが必要なのでしょうか?
着物の家紋にはそもそもどんな意味があるの?
家紋の意味はお住いの地域によってさまざまですが、その昔はその着物が誰のものなのか所有権のような形で入れられていたようです。
女性が嫁ぐ前に実家で仕立てた着物ならご実家の紋、嫁いでから嫁ぎ先で仕立てたなら嫁ぎ先の紋というような具合です。
要はどこの家でお金を出したかという目印のような感じですね。
親戚が集まればどの人がお嫁さんで、どの家からお嫁に来たのかが家紋で分かる仕組みになっていたそうです。
また関西の方では母方の紋といって母から娘に紋を伝えていく風習があり、女性が途絶えるまで続きます。
このように家紋にはその地域によって意味があり、まずはあなたが嫁いだ先の意味を知ることがスタートになります。
着物の家紋には女性特有の決まりがある!?
これも地域差がありますが、女性の場合嫁いだことで家紋が変わると思ったら大きな間違いな場合があります。
いわゆる着物の家紋は男性がつける男紋が正式で家紋をそのまま女性がつけることは少ないです。
これは昔ながらの男尊女卑の考えに基づいているのですが、男性と対等ではない女性が同じ大きさ、紋をつけることはできず男性よりも一回り小さい紋で家紋をそのまま着物に入れるわけではありません。
女性の場合、女性なら誰でもつけて良い通紋が入った着物を着用されている姿を多く見かけます。
変な話しですが離婚で実家に出戻っても家紋を入れ直す必要がなく、融通の利く家紋が通紋と言えますね。
通紋には五三の桐、揚羽蝶、蔦などがあります。
前章でお話した母方の紋にしても同様ですが、一般的に女性の着物に入れる紋は家紋とイコールではないことが多いことを覚えておきましょう。
ですので嫁いだ先で自分だけ家紋が違う!とパニックになり急いで家紋を入れ直そうとしているならちょっと待った!
本当に紋が違うのか、女性特有の通紋ではないかを確認してからにしてください。
もしかしたら母方の紋なのかもしれませんし、ご実家の紋なのかもしれません。
とにかくその着物を仕立てた人にどういう意味でその家紋が入っているのかを確認してからにすることで失敗が少なくなります。
まとめ
いかがでしたか?
嫁ぎ先で自分だけ紋が違うことは実はよくあることなんです。
女性なら誰でも使って良い通紋の場合もありますし、母方の紋を受け継いでいることもあります。
仕立てたのがご実家であれば生家の紋の場合もありますね。
自分の着物の紋だけ違っていて不自然に感じるなら、お姑さんにまずはお伺いしてみましょう。
家によってはそこまで気にされない家もありますのでもしかしたら「そのままで大丈夫よ」と言われるかもしれませんね。
逆に紋を入れ直すことになっても2万円前後のコストはかかりますが不可能ではありませんので、かかりつけの呉服屋さんなどにお願いしてみましょう。
特殊な例ですが離婚したことでどうしても紋を入れ直さなければいけないなら、思い切ってその着物を売却し新しい着物を購入してもいいと思います。
そのまま紋を入れ直して着物を着続けてもいいのですが、以前の結婚で用意した着物を次の結婚でも着るとなると少々複雑ではありませんか?
2万円前後ものコストをかけて紋を入れ直すくらいなら着物を売ったお金を資金にして新しい着物を購入することで気分も心機一転しますよね。
離婚が原因で紋を入れ直さなければいけない場合は紋を入れ直す前に売却を検討しても良いでしょう。