既婚女性の第一礼装の黒留袖。
着物と馴染みの深い地域では結婚と同時に仕立てることが多い着物のひとつです。
20代で仕立てることになるため黒留袖の柄は華やかで明るい色が取り入れられることが多く、そんな黒留袖を50代、60代で着用するには柄が派手すぎてしまい少々ちぐはぐな印象になることも。
今回ご相談にいらした女性(50代)もそんなお一人です。
留袖が若い柄なんだけどどうしたらいい?
結婚と同時に親が仕立ててくれた黒留袖を姪っ子の結婚式に着ようと合わせてみたら思いの外、柄が若くて・・・
柄が若くてもそのまま着てもおかしくないんでしょうか? (50代:女性)
実は黒留袖にも柄やその色合いでなんとなく着用年代が決まっています。
若ければ若いほど赤やピンクなどの明るい色調で柄も大きく派手になり、年齢を重ねるごとに色合いが抑えられ地味な柄になってきます。
ですので結婚と同時に仕立てた黒留袖を50代になってから着用することは基本的に難しいんです。
仕立てる時に「いつまでも着られるように」と地味な黒留袖にした場合はその限りではありませんので、すべての人が該当するわけではありませんが・・・
行事の節目ごとに着物を着用する地域では「黒留袖は人生で2度仕立てなければいけない」と言われているほどで、普通に考えても自分の結婚時に仕立てた黒留袖を自分の子どもの結婚式で着ることには無理がありますよね。
家族構成にもよりますが、黒留袖は若いうちにはあまり着る機会も少ないので若いうちはレンタルで済ませて、自分の子どもの結婚式くらいで仕立てるのが一番融通が効くのかもしれません。
逆に今回のご相談者さんのような「先に仕立てた場合」で、合わせてみて思いの外柄が派手だったなら思い切ってレンタルという方法もあります。
また、若い時分に仕立てた着物でもう一つ注意していただきたいのが「身幅」です。
若い時は痩せてたのに中年太りで・・・なんて言う方は着物の身幅が足りなくなっている恐れがあります。
そこを確認しなかったがために着付けの際に身幅が足りず、裾がはだけやすかったり脇線が脇よりも前にズレてきたりしてきれいに着付けることができなくなります。
留袖の柄が派手すぎて今の年代に合わないと感じたり、若い頃よりも太ってしまって身幅が合わないなら思い切ってレンタルにしてみましょう。
若い柄の留袖は買取ってもらってレンタルの軍資金に!
今回はレンタルで留袖を借りるにしても、手元にある留袖がこの先使えるかというともっと使えなくなってしまいます。
それこそ娘さんのお嫁入りに紋を入れ直して持たせることもできますが、長期間の保管となると意外と難しいものです。
現時点で柄が派手だと感じているなら、今後さらに歳を重ねればチグハグな印象はもっと強くなるはず。
手元に置いておいても宝の持ち腐れになってしまうばかりか、完全にたんすの肥やし状態になってしまいますね。
そんな時は思い切って着物買取に出してみるのも一つの方法です。
最近では着物を専門に買取ってくれる業者も増え、自宅まで査定に来てくれたりダンボールに詰めて業者まで送るだけで査定してくれる業者もあります。
いきなり査定はちょっと怖いと感じるならあらかじめ画像を業者に送って査定するネット査定やLINE査定を扱っているところもありますので、あなたのニーズに応じた業者を選んでみましょう。
ネット査定で一番高い査定額を出したところに売ることもできますよね。
こうして着られなくなった留袖を売却することで次のレンタルや着物の購入資金に充てることもできるんです。
使わなくなった着物は必要な人の手に。
着物が一番喜ぶ方法なのかもしれませんね。
着物の柄に流行りがあるの?
着物の柄にも流行があります。
一時期は辻が花が流行したこともありますが、柄に流行があるのは振袖や訪問着などが多く、留袖にはそれほど流行はありません。
留袖はおめでたい席で着用することが多いため、柄は吉祥文様というおめでたい柄が多いのが特徴です。
振袖のような未婚の間しか着ることができない期間限定の着物であれば、多少流行を取り入れてもいいかと思いますが、留袖などはある程度歳を取っても着ることができるものをセレクトすると良いですね。
特に帯は着物を変えても使いまわすこともできるので、流行を取り入れるのもほどほどにしておきましょう。
まとめ
結婚時に仕立てた留袖を50代で着ようと思っても、柄が派手だったり若すぎたりして無理な場合はよく起こります。
そもそも若い時分に仕立てた着物を数十年経ってから着ることがすでに少々無理があることで、大袈裟に言うと振袖を着ているようなものです。
あまりにも着る人と柄がチグハグだと感じるようであれば思い切ってレンタルするのもひとつの方法かもしれません。
また、柄が若くて着られなくなった留袖は次に必要な人の手に渡るよう、着物買取に買取ってもらえばレンタルや仕立ての資金にもなりますね。
仕立てる時にはあまり流行を追いすぎず、若い頃は少し地味になるくらいの着物を仕立てることが長く着られるコツになります。