お母さまの着物をいざ着ようと思ったら思いの外着物が小さかった、というのはよくある話です。
お母さまと娘さんで体格がほぼ同じということは少なく、大体は娘さんの方が大きいものですよね。
今回は着物が小さい場合の仕立直しについてまとめてみます。
着物が小さいけど仕立て直しはできるの?
着物は反物から仕立てますが、生地の余分は切り取らず縫い込んおくのが通常です。
ですので基本的には小さい着物を大きく仕立て直すことは縫込みの部分を解いて大きくしていけば可能です。
ところがもともと生地いっぱいで作られていたり、反物の幅が狭かったりすると縫込み部分が少なくなり希望の大きさまで届かないなんてことも。
その際は見えない部分に継ぎをしたりして大きくするのですが、着物にはさみを入れることになるのでお客様と要相談という形になります。
特に裄が短い場合に生地が足りないと仕立て直しも難しくなるので、近所の呉服屋さんに現物を持って相談に行くのが一番手っ取り早いでしょう。
現物を見れば縫込みがどれだけあるかを確認することもできますし、希望の大きさまで仕立て直すことができるかもわかりますよね。
また必ずしも着物から着物へ仕立て直ししなければいけないという決まりもありませんので、着物から羽織にしてみたり、着物から道行コートなど着物よりも生地が少ないものに直すことで不足分を補うことができます。
お母さまとかなりの身長差や体格差があるようでしたら仕立て直しもできないか、上記のように別物に仕立て直す方法を取ることもありますのでしっかりと確認してください。
着物を仕立て直しするのに料金はいくらぐらい?
着物を仕立て直す場合はどこを直すかにもよりますが、縫ってある部分を解いて縫込みを広げまた縫い合わせます。
ついでに洗い張りや黄ばんだ胴裏を交換することもできるので、仕立て直しと同時に生まれ変わらせたいなら思い切ってお願いするのも良いでしょう。
仕立て直しの料金は着物の種類やどこを直すかによって価格が変わってきますが、大きな仕立直しで3万円前後で仕立て直すことができます。
仕立て直しのついでにできることは仕立て直しをお願いする呉服屋さんでしっかりと相談なさってくださいね。
着物を仕立て直しして大きくする方法は?
着物のサイズは身丈・裄・身幅の3つが重要とされていますが、お母さまのお着物のどの部分の長さが足りないのかで工程が変わってきます。
着物をよく見てみると縦方向に縫い目は少ないですが、横方向には何枚かの布地が縫い合わされていることが分かります。
ですので縦方向に大きくする身丈の仕立て直しはやや簡単で、横方向に大きくする裄や身幅の仕立て直しは難しくなることが多いです。
部分的なお直しであれば縫い目を解いて布地を引き出し、縫い合わせればいいですが大掛かりな仕立直しとなると「洗い張り」という着物を一度反物の状態に戻す作業が必要になってきます。
着物を縫い目で解いてすべてを反物の状態にすることで縫込みを確実に広げることができるためです。
身幅や裄の長さを出したい場合はほとんどの場合、洗い張りが必要になります。
また長年折っていた箇所は筋のような線がついていることもあるのですじ消しという作業が必要なことも。
大掛かりな仕立直しは着物のすべての縫い目をほどいてその後に縫い直すため結構な時間がかかりますし金額も跳ね上がります。
安い着物を購入できるくらいの金額はかかりますので、事前に見積りは出してもらうようにしましょう。
また、着物だけではなくその着物の長襦袢も一緒に仕立て直さないといけないので、着物と一緒に持ち込むようにしてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?
仕立て直しは大きい着物から小さい着物へ直す場合と小さい着物から大きい着物へ直す場合の2種類がありますが、難しいのは断然後者です。
小さい着物を大きい着物へ仕立て直すには縫込みにどれだけ余力があるかが重要なポイントなんですね。
特に昔の着物は反物の幅自体が狭いものが多かったため、なかなか幅出しができないものも多いんです。
また仕立直しは呉服屋さんの実力が試されるとも言えるほど、その腕前に差があるのも実情。
腕の確かな呉服屋さんを探しておくことも大切です。
仕立て直して着たいくらい大切な着物ですから、丁寧な仕事をしてくれる呉服屋さんを選びたいものですね。