お母さまの着物を形見として受け継いだけど古いシミがひどくて着れません、どうしたらいいでしょうか?
というご質問をよくいただきます。
着物のシミには表地にできてしまったシミと裏地が黄変してできたシミがありますが、ここでは両方のシミについての対処法を解説していきます。
母が着物を形見に残してくれたものを活かすには?
お母さまの世代にもよりますが今に比べると多くの着物をお持ちになっていた方がほとんどです。
そんな着物を受け継いだならやはり着ることが一番の親孝行になりますよね。
とは言え、お母さま世代の着物となると年数も経っているためどうしてもあちこちに経年劣化が見られる場合が多いです。
表地についた汚れは年月とともにシミになり、裏地である胴裏はどんどん黄ばんでしまうんですね。
裏ならともかく表地のそれも目立つ部位にシミがあるとなると着ることもはばかられてしまいます。
形見の着物をせっかく着ようと思っていらっしゃるのにシミで諦めてしまうのはとてももったいないこと。
着物についた年月を伴うシミはどうしたらいいのでしょうか?
着物に古いシミがある場合はどうしたらいい?
表地にできたシミ、と言ってもここでは年月を伴うシミになりますので単なるしシミ抜きでは落としきれない可能性が高いです。
それでもシミを薄くすることで着ることができるかもしれませんので、まずは専門の業者に聞いてみましょう。
もしシミ抜きができない場合、残る手段は染め直しです。
今現在の着物の色よりも少し濃い色に染め替えることでシミを隠すことができます。
小紋や色無地のような模様のない着物であれば仕立て直しをすることでシミを隠すこともできます。
着物の上側になる部分と下側になる部分を入れ替えることでシミが下側になるため見えなくなるという仕組みです。
とは言え、あまり格調の高くない着物を染め替えたり仕立て直すのは少々気が引けるものですよね。
そんな場合は羽織で隠すなど、和装小物で隠すのも一つの方法です。
いずれもシミ抜きに出してどれだけシミが薄くなるかが勝負ですので、形見の着物にシミを発見したら放置せずすぐにシミ抜きに出してみましょう。
また、胴裏という着物の裏地が黄変している場合は胴裏のみを交換することができます。
着物の裏地になりますのでそこまで神経質になる必要もないかもしれませんが、今後も大切に着たい着物であれば胴裏の交換をおすすめします。
仕立て直しよりはコストがかかりませんので、まずは最寄りの呉服屋さんに相談なさると良いでしょう。
注意したいのがシミがあるからといって自分でなんとかしようと思わないことです。
特に金箔や刺繍などが入っている着物はとても繊細ですので、下手すると金箔が剥がれたり刺繍がほつれてきたりする場合もあります。
着物は工芸品ですので専門の業者におまかせしましょう。
着物にシミがある場合は着るのは難しい?
着物にシミがあっても部位によってはうまく隠れることも少なくありません。
お母さまとあなたの体格差が生むマジックで、主におはしょり付近のシミであれば着付けの時に紐の位置をずらすことで隠せることがあります。
こればっかりは実際に着てみないと分かりませんので、自分でざっくりと羽織ってみても良いかもしれませんね。
衿元もシミが多い部位ですが、衿のシミはシミ抜きか染め直ししか方法がありません。
このように着物のシミはシミの部位によって隠せる場合と隠せない場合があります。
染め直しや仕立直しを行ってでも着たいなら呉服屋さんに相談されるのが一番でしょう。
もしシミがどうしてもうまく隠せず、かと言って染め直しや仕立直してまでは着ないというなら羽織や道行コートなどにリメイクするのもいいかもしれませんね。
特に紬の着物は洋服へのアレンジがききやすいのでおすすめですよ。
それでもシミがあることでどうしても着ない、リメイクもしないというなら思い切って着物買取などに売却しても良いでしょう。
形見の品を売るなんて!と思われるかもしれませんが、最近では数点を手元に残して活用できない着物は着てくれる人の手に渡すのも立派な活用法として確立され始めています。
着ないままタンスの肥やしにするよりも活用してくれる人の手に渡ったほうが気も休まりませんか?
まとめ
いかがでしたか?
形見の着物のシミは年月が経っていることもあり、完璧に取り除くのは難しいとされています。
シミに気づいたら着る時まで放置せずすぐにシミ抜きをするようにしましょう。
また部位によっては着付けでうまく隠せる場合もありますので、一度は袖を通してみると良いでしょう。
着物全体の色を変える染め直しや仕立直しでもうまく目立たないようにすることはできますが相応のコストもかかってきます。
形見の着物が何枚もあるならシミのある着物は断念して売却するという方法もアリです。
着ないまま手元に置いておいても1年に最低1回は虫干しが必要ですし、保管する場所も必要です。
そして結局袖を通さないままお子さんの世代となり、ゴミ袋行きなんて悲しいことにならないためにも決断は必要なのかもしれませんね。