よく「私はデブだから着物が似合わなくて・・・」とおっしゃるお客さまがいらっしゃいますが、私に言わせればデブな人ほど着物を着ていただきたい!
たとえ自分がデブと思っていても洋服よりも着物の方がよほど着こなすことができるんですよ。
ここではデブでも似合う着物の着こなし方をご紹介していきたいと思います。
着物はデブは似合わない?
デブな人は着物が似合わない、なんて言う人がいますが着付けもする私の立場から言わせていただくとデブな人ほど着物が似合います。
着付けでは基本的に引っ込んでいる箇所に補正を入れて凸凹を平坦にしていくので、痩せている人ほど補正はたくさん入ります。
どれだけウエストがくびれていてもくびれているだけ補正が入って平らな状態になりますので逆に痩せている人ほど着付けは大変です。
これがデブな人ならどうでしょう?
ウエストはくびれていないのでほとんど補正は必要ありません。
バストが大きくてもガーゼなどで上下に流し形を整えることで天然の補正ができあがります。
結局のところ、着付けでは体の一番太い部分に太さを近づけていくので、太っていようが痩せていようがあまり目立たなくなるんですね。
逆にデブな方が人口の補正をぐるぐる巻きにする必要がないので、楽に着物を着られるという利点すらあるのです。
また最近では芸能人でもデブをウリにしていることが多く、デブも個性の一つと考えられるようになりましたね。
同じデブでも洋服のデブと着物のデブなら着物のデブの方が個性豊かだと感じませんか?
着物を着る時にヒップが大きいとおかしい?
着物を着る時にヒップが大きい場合、補正の入れ方でバランスを保つことができます。
着物を着た時は必ず帯を締めますが、帯がウエストに食い込んでしまうとヒップの大きさをより強調してしまうのでウエストには十分な補正が必要になります。
着物は着た時に下しぼまりの円錐形になっているときれいに見えるので、ヒップが大きい場合はある程度の上半身の補正が必要になってきます。
またヒップのラインが後ろ姿にくっきり出ないようにヒップ全体を包み込むようなお尻あてがあると良いでしょう。
ヒップよりも太ももの骨である大転子が出っ張っている場合は骨盤横への補正も必要になるので、あなたの体型をよく知る着付師さんに着付けてもらうといいですね。
とにかくヒップが大きい場合の着付けではゆったりと着せてもらうことが大切なポイントになりますので、着丈や裄、身幅のサイズはきちんと合ったものを着用するようにしてください。
デブが着物を着るならどんな柄がいい?
デブだから大きい柄がいいのでは?と考えるかもしれませんが、柄は着物の種類によってかなり左右されるもの。
大きい柄がそぐわない着物も格式が高くなればなるほどありますし、逆に小紋などは小さい柄のものが多い着物ですよね?
私の個人的な考えとしてはデブだから大きい柄がいいとは思っていません。
体型を気にするなら柄よりも色の方が重要で、特にウエストに位置する帯の色は重要です。
帯を濃い目の収縮色にすることで着物を着た時の膨張感を和らげることができるんですよ。
帯に収縮色を選べない場合は帯揚げや帯締めに収縮色を持ってくることで帯よりパワーは落ちますが同じ効果があります。
格調の高い留袖や訪問着にはなかなか選べない色ですので、街着である小紋などのおしゃれ着に使ってみてくださいね。
また帯締めは普通に結ぶよりも帯留めなどを使ってすっきりまとめることもできます。
最近は柄も個性的な柄が多く、猫やピアノ、サンタクロースの柄なども売れているようです。
着物の柄はデブでも痩せていてもお好きな柄を、帯はちょっとだけ色を気にしてチョイスされるとすっきり着こなすことができますよ。
まとめ
いかがでしたか?
デブだから着物は似合わない、と着物を敬遠するなんて実はすごくもったいないことなんです。
私は一年を通していろんなお客さまを着付けしますが、成人式のような若いお嬢さまよりもお子さんの入学式くらいからのある程度の年齢の方のほうが着物を着こなす力があるように感じます。
これは年齢を重ねるごとについてくる脂肪が天然の補正となり、着物をしっくり馴染ませてくれるからだと思っています。
氷川きよしよりも美川憲一の方が和服が似合うのは年齢だけが原因ではないんですよ。
近年は日本人も外国人ばりの体型となりましたが、着物を常としていた時代の日本人は今よりも平坦な体つきでした。
そこから生まれた着物ならより平坦にできる体型の方が着物が似合うのは当然のことなんです。
着物の柄はお好きな柄を、帯は色だけ少し気にして選ぶとデブでもすっきり着こなすことが可能になります。
デブだからと着物を遠ざけるのではなく、利点を活かして素敵な着物ライフをエンジョイしましょうね!