
親御さんの形見やいただきものの着物など、自分用に仕立てた着物以外の着物では時として身幅が小さいという現象が起こります。
要は体周りが本来の持ち主よりも大きいため、着物の幅が合わなくなってしまうということです。
この着物の身幅が小さい場合、どうしたら着物を着ることができるのでしょうか?
着物の身幅が小さいけど着付けできる?
着物の身幅が小さい場合、どれだけ小さいかにもよりますが着付けをすることはできます。
ただ身幅が合っている着物と比べると普段は見えない線が見えたり、裾がはだけやすくなってしまうこともありますのでいつもどおりに着られるとは限りません。
着付けに対してシビアな考えをお持ちなら身幅の小さい着物を着ることは難しいかもしれませんね。
また着物は身幅だけではなく、袖裄が短かったり、着物の丈が短い場合もあります。
これらはどれも本来の持ち主である方よりも体格が大きい場合に起こるので、もしいただきものの着物があるようなら一度合わせてみるといいかもしれません。
では具体的にどのように着付けると小さな着物を着ることができるのでしょうか?
着物が小さい時の着付けのコツは?
着物が小さい場合に支障が出やすいのは先ほども挙げたように「袖裄」「着丈」「身幅」の3つです。
それぞれが小さかった時の着付けのコツを見てみましょう。
袖裄が短い場合
着物の袖裄は基本的に手首のポコッと出ている骨(茎状突起)くらいまであればOKです。
洋服に比べると短く感じるかもしれませんが、茎状突起よりも着物が短いなら袖裄が短いことになります。
腕の長さが違うくらい体格の違う方から着物をいただくことは少ないかもしれませんが、もしお持ちの着物の袖裄が短いなら呉服屋さんで仕立て直しをしてもらうことが一番おすすめです。
袖裄は肘を曲げていればそれほど目立たないので、数センチ足りない程度でしたらそのまま着てもいいでしょう。
カジュアルな着物であれば着物の上に羽織を着るという方法もありますね。
時々衿幅を変えてまで袖裄を出すという方もいらっしゃいますが、衿幅を変えてしまうと長襦袢の衿と高さが違ってしまうのでおすすめできません。
応急処置として衿幅を変える場合はせいぜい5ミリ程度を目安にするとまだ収まりがつきます。
着丈が短い場合
元の持ち主である方があなたに比べてかなり小さい場合、着丈が短いためおはしょりが極端に短くなったり時として出ないことがあります。
このような場合はいつもの腰紐の位置よりも数センチ下の位置で腰紐を結ぶとおはしょりが出てきます。
ただしお辞儀をしたり腰をかがめる動作で腰紐が見えてしまいやすいので注意しましょう。
また小さい着物が留袖や訪問着などの格調の高い着物でなく、カジュアル系の着物であればおはしょりなしで着ることもできます。
おはしょりなしで着物を着る方法を対丈(ついたけ)と言いますが、昔はおはしょりなしで着物を着ることが通常だったそうですよ。
ただしお腹やヒップの膨らみが目立つ着方になりますのでおはしょりなしで着物を着る方法は最終手段としたほうがいいかもしれません。
身幅が足りない場合
着物の幅が足りない場合は裾を重ねた時に上側になる布を中心に考えます。
身幅が足りない時は背中心を合わせてしまうと上前がきちんと被さらず、中途半端な位置で布地が収まってしまうので全体的に時計回りに回転させます。
背中心は腰紐から下が左寄りになり、着物の端は右足がしっかりと隠れるくらいまでで収めます。
左の脇線が正面から見た時に見えてしまいますが身幅が足りない場合はガマンしましょう。
この脇線が見えるのが嫌であれば呉服屋さんでの仕立直しが必要になります。
着物の上前をしっかり合わせることで下前が浅くなり裾がはだけやすくなりますので注意しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
着物が小さいと多少不便はあるものの、全く着られないというワケではありません。
着られないということはありませんがきれいに着られるかというとそうではないので、着付けの美しさを求めるなら仕立て直しがおすすめです。
仕立て直しには相応のコストがかかりますので優先順位としては格調の高いものを優先的に仕立て直しに出すと良いでしょう。
ただし小さい着物を大きくするには反物の幅や生地の余分との兼ね合いもあり、どうしても大きくできないこともよくあります。
そんな場合は羽織や道中着など元の着物よりも小さいものに仕立て直すことも一つの方法です。
仕立て直しには安い着物が一枚買えるほどの金額がかかってしまうこともありますので、そこまで思い入れのない着物であれば買取に出してしまうことも視野に入れておきましょう。
このように身幅の小さい着物は小さくてもそのまま着るか、仕立て直すか買取に出してしまうという3つの方法があります。
譲り受けた着物に対する思い入れや着る頻度から一番良い方法をセレクトしてくださいね。