いただきものの着物やお母さまから譲り受けた着物は時としてサイズが合わず小さいことがあります。
小さい着物を大きくするにはどうしたら良いのでしょうか?
今回は小さい着物を大きくできるかを見極めるポイントや着付けのコツ、仕立直しを考える基準を交えてお伝えしていきます。
小さい着物は大きくできる?見極め方のポイント
着物は一見、長方形の布のように見えますが実は着る人のサイズに合わせてジャストサイズになるよう仕立ててあります。
もともとの持ち主の身長や体の幅にちょうどなサイズになっているためお下がりの着物ではその体格差からうまく着られないこともしばしば起こります。
特に小さい着物を大きな人が着る場合、時としてみっともない着こなしになってしまうので気をつけたいところです。
着物は幅の決まった反物から作られていますが、小さい着物を大きくできるかどうかの見極めポイントはこの反物幅と長さ。
小さい着物を仕立てる時に生地に余分があれば、その余分を縫い込んで仕立てるのですが縫い込んである場合のみ大きくすることが可能になります。
また小さい着物と言っても具体的にどこが小さいのか、裄が足りないのか、身丈が足りないのか、身幅が足りないのかによって縫込みの位置を確認する場所も違ってきます。
裄を長くしたい場合は、袖幅、肩幅のどちらかか、両方の縫込みが足りない長さ以上あればOKです。
身幅を大きくしたい場合は脇線の縫込みを、身丈を大きくしたい場合は胸から腰の間の横線(内あげ)の縫込みを確認しましょう。
それぞれの縫込みに足りない分の長さが縫い込まれていればその分だけ大きくすることができます。
ただし柄合わせが必要な着物は柄が合わなくなったり、ヤケによって色味が若干違ったりすることもあります。
実際に大きくする場合はプロにおまかせしたいところですが、上記のような理由で大きくできないこともあります。
むやみに大きくはできないとなると小さい着物の着方に何かコツはあるのでしょうか?
小さい着物の着方を伝授!こうすればキレイに着付けられる
小さい着物の着方で注意したいポイントはどこが小さいのかによって違ってきます。
裄が足りない場合は、着物を着た時に肘を常に曲げた状態にすることで目立ちにくくなります。
着物の袖は洋服の袖よりやや短く、茎状突起まであればOKです。
それよりも短ければ裄が足りないことになります。
身丈が足りない場合はおはしょりが出にくくなってしまいますので、着付けの力量が問われる部分です。
裾線を決める腰紐の位置を骨盤の位置まで下げることでおはしょりを出すことができますが、お辞儀をした時などに紐が見えやすくなりますので注意しましょう。
腰紐の位置を下げてもおはしょりが出ない場合はカジュアルな着物に限り「対丈」というおはしょりがない状態で着ることになります。
最後に身幅が足りない場合は、上前の脇線を前側に持ってきて上前で下前を包み込みます。
脇線を無視して着付ける方法になりますので、着付けをしたことがある人は気になるかもしれませんが身幅が足りない状態で着るよりはマシです。
身幅は裾線を合わせる際に気づくことが多いので、上半身の背中心は中心に、下半身の背中心はやや左にズレることになりますが上下の背中心はズレていても大丈夫ですのでご安心ください。
このように小さい着物の着方にはコツがあり、うまくいけば小さくてもキレイに着こなすことができます。
小さい着物は仕立て直しに出すべき?
サイズの違いが出やすい裄・身丈・身幅のうち身丈と身幅は小さいと着ることができない場合もあります。
そんな時は仕立て直しに出すべきなのでしょうか?
実は仕立直しのコストは安い着物が1枚買えてしまうほどの値段になることが多く、仕立て直したとしてもお下がりの着物の場合はヤケやスジが気になるところ。
それだけの金額を支払って仕立て直しはあまりおすすめできません。
それなら新しい、あなたサイズの着物を買ったほうがストレスなく着られると思いませんか?
一番上手な方法は、小さい着物を売って新しい着物の購入資金にすること。
売ると言ってもリサイクルショップなどに売ってしまうと子供のお小遣い程度にしかなりませんので売却先は着物を専門に買取る業者にしましょう。
着物買取は昔の着物でもしっかりとその価値を見抜いてくれますし、何より次に大切にしてくれる方の手に渡るような独自の販路を持っています。
小さいけど大切にしていた着物でも、手放した後に大切にされることが分かっていれば安心して買取ってもらうことができますよね。
このように小さい着物は無理に仕立て直しに出さず着物買取に売却し、そのお金で新しい着物を購入するのが賢い方法です。
まとめ
いかがでしたか?
小さい着物を大きくするには縫込み(縫い代)にどれだけ生地の余分が縫い込まれているかによって変わります。
縫込みが足りたとしても長い年月によってできたヤケや折れスジ、縫い目の穴などが出てしまう可能性も高いです。
柄合わせが必要な着物は縫込みが十分にあったとしてもそれだけでは足りない場合もありますよね。
小さい着物を着る時のコツは前述したとおりですが、どうしても不便なことも出てきます。
仕立て直しに出せば新しい着物が1枚買えてしまうほどの値段になるため、小さい着物は思い切って売ってしまいましょう。
着物を売る時は売却先を間違えるととんでもない値段で買い取られてしまうため、着物は着物を専門に買取る業者に売るようにしてください。
あなたにピッタリの着物であれば何の不便もなく着物を着ることができます。
こうして譲り受けた着物も形を変えて受け継いだと考えれば気がとがめることもないと思いませんか?